わたしが知っている世界なんてほんの小さな片鱗でしかなくて、それでも何かを知ったような気になってしまい、誰かにその感動や喜びを伝えたくてこのブログを開設した。できるだけ文章に対しては素直で誠実で、正直でいられたらと思う。
自己紹介について-
Yumi.H 大阪出身東京在住。
ヨーロッパの文化とその多様性に魅了され、ワーホリビザでフランスに1年間滞在。
2017年9月にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼フランス人の道800kmを完歩。
イタリア文学者・作家の須賀敦子さんの文体とその生き方に憧れている。
最初の海外経験はアメリカ。異国文化に触れるという意味では十分なほどのカルチャーショックを受けたが、その数年後にヨーロッパ、フランスに旅をしたときにヨーロッパこそ自分の関心と合致していると実感。侵略や侵攻を重ね様々な民族が混じったこの土地の歴史的背景が地面の中に眠っていて、土地にエネルギーが溢れている。歴史は現在も進んでいて、地の底から湧き上がるような熱を身体全身で受け止めたような感覚があった。ただ文化を消費するだけではなくヨーロッパをもっと深く知り、そこに自分自身も根を張りたい。ワーホリビザで2017年1月から1年間フランスに滞在してもその気持ちはますます強くなる。
須賀敦子さんの作品に出会ったのは2015年、年末に放送された、本を紹介する番組にて。とある著名人が取り上げたのはアントニオ・タブッキ著「供述によるとペレイラは…」。ファシズムが台頭するポルトガルでの、とある中年新聞記者の感情の揺れ、そこから変わる運命について書かれた作品である。読み終わったあとの興奮はさることながら、何よりも翻訳が素晴らしいと感じた。海外文学でありながら読みづらい部分など何一つなく、すべてが完璧で美しかった。誰が翻訳したのだろう、名前を見るとそこには「須賀敦子」とある。そこから彼女の本にのめり込み、全集を読み終わるにはそう時間がかからなかった。まるで体に取り込むように、読み込んだ。あらゆる場所で、いつもカバンのなかにしのばせて。どこにいたって彼女の言葉に触れたならば、そこに宿る不思議な力は読み手にもしっかりと届く、描く世界を自在に存在させ、表出させるのだ。
-そういう文章が書きたい。-
もちろん知識量は全然違うし、表現力だってかなわないとわかっている。それでも、彼女の文章に近づきたい。さらにいえば、彼女の生き方も心底憧れを抱いている。一人の女性として確かな自信を持ち、個人としての尊厳振りかざすのではなく品格を保ちながら訴え、迷いながらも美しく生きる、その信念の強く、たくましくしなやかな生き様。自分自身もそうでありたい。技量ははるかに及ばないけれど、魅了されたヨーロッパのことや日々のことをこつこつと、ここでは誠実に書きたいと願う。