誰しもが、胸の中に抱える『帰れない山』がある

Culture Écrivain Italie

帰阪時に新幹線の中で、パオロ・コニェッティ著「帰れない山」を読み終わった。 11月末開催の「ヨーロッパ文芸フェスティバル」の一つの企画として、取り上げられたこの本。当日は著者本人の朗読を交えたトーク形式で行われたのだが、わたしはその日までに本の存在を知らなかったし、そもそも作品が面白いのか、はたまた著書が何者なのかもまったく理解していない中で「ただイタリア文学だから気になる」という関心のもとに会場へ向かった。 想像以上に会場は広く、多くのお客さんで埋め尽くされ、ほぼ満席状態。 読めばきっと納得するだろう。この作品がイタリア文学界の最高峰であるストレーガ賞を受賞した理由。冒頭から勢いを落とさず物…続きを読む

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最悪のコンディションに最高の美しさを【カミーノ巡礼記6日目】

Camino Espagne Europe

初めての雨のcaminoは一番辛いタイミングで襲ってきた。 コンディション維持のために25km以上は歩かない方が良いと結論づけたにもかかわらず、ガイドマップをみると本日の目的地Los Arcosには合計26km。Los Arcos前の街は12km手前にしかなくて、そこで滞在するとすれば今日は14kmしか歩かないことになるじゃないか、計算すればどこか物足りない気分になり、意を決して26kmを目指して歩いたらその12kmの道のりが辛過ぎて泣きたくなるほどの辛さだった。雨は降るわ、巡礼路に何も無いわで、強烈な孤独感が押し寄せる。進むか戻るか、いや戻る選択肢はそもそもない。いつだって、この道においては…続きを読む

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