ご馳走するのも誤差の範囲内【カミーノ 巡礼記25日目】

Camino Espagne Europe

今日の最高気温は16度。日に日に温度が下がっている。しかも気付かない間に標高も高くなる。今日は300mのゆるやかな登りで、最終的にたどり着く予定のRabanal del Caminoは1100mほどの位置にある。

この道で助かったのがUNIQLOのウルトラライトジャケットだった。夏だからいらないだろうと当初考えていたけれど、登山のシチュエーションを考えた時に、山頂は想像を超えて寒くなる。今いらないと判断しても先の私はどう判断するかわからない。重さもそれほどないわけだからと最終的に持参した。よかった、荷物の仕分けをしたわたしに感謝をしながら歩く。

Léonで離れたと思っていた免色さんに道の途中で会い、ペースを合わせてもらい普段どういうことを考えているのか、話を伺いながら歩いた。どのような本が好きなのか、巡礼の後に何をするのか、趣味は何なのか、彼のプライベートというよりも性格の根本的な部分に興味が沸いて尽きなかった。おそらく本当のお金持ちというのは物事に執着せずカラッとして優しいのだろう。

夜もまたレストランに誘ってもらった。おそらく彼とタイミングが合うのもこの先そう多くはないだろうから、招待をありがたく受ける。彼は「自分は自分だ」というはっきりした輪郭があるようで、その領域は誰にも不可侵なのだ。単純にレストランに誘うのも一人で食べるのが味気ないから暇つぶしの一種だろうけれど、その暇つぶしにしてくれるのならわたしはわたしでまた、嬉しかったりもする。多分免色さんは、日本で暮らしていたら絶対に出会えないような人だから。

今日のアルベルゲは5€である。オーナーがアルベルゲとしてのセンスを分かっていて可愛らしいつくりになっていた。お花、庭、食事、ひとつひとつの配慮が形になって目に見える。
到着してシャワーを浴びてまずランチの時間にした。明日からも山が続くし、お肉をしっかり食べた方が良さそうだなと思いポークソテーを注文。パプリカやカイエンペッパーなどのスパイスが混ざった、ぴりっとするソテーをもぐもぐと食べながら庭を眺めている。ちらほらと訪れる巡礼者。見た顔はあまり、いないよう。

すると斜め向かいの座席にカップルで座っていた男性がこちらにやってきて「それ、美味しい?」と声をかけられ、うん、おいしいよと返答をする。

夜に免色さんと再び合流。レストランのサラダが美味しかった。グリルした山羊のチーズ、胡桃、ハニーマスタードのようなドレッシングでトマトや葉物が混ざっている。フランスに戻ったら作ってみよう。今日も彼にご馳走になったけれど、「本当に気にしなくていいです。これは誤差の範囲だから。」と一言。感動ものの発言である。私もいつか言ってみたい言葉のひとつとして名言リストに追加したい。

◾︎ 14/09/2017, AstorgaからRabanal del Caminoまで