昨日宿が一緒だったボルドー出身のマダム・アンと最初の街のカフェで会い、朝食を一緒にとる。彼女はオレンジジュースに砂糖を入れて飲んでいた。そのような文化を知らなかったので驚く。終わりには「ボルドーにいつでもおいで」「友達も呼んで来ていいからね」と連絡先を交換した。少しずつ道の終盤が近づいていて、その後もこの出会った人と関係性を続けていきたいか否か、という観点に変化している。
東京までは10,666km。そう考えると巡礼の800kmなんてそう遠くはないんだよね。
大きな標識も巡礼カラー。これなら迷うことはなさそうだ。
Rioja州では多く見かけたワイン畑の間を歩く。せっかくなら一粒、ということもせずに真面目に通過。ちぎって食べる巡礼者はいるようだけどさすがに自生しているものではないから自重。
Villafranca del Bierzoは山と谷と川がある風景に囲まれていた。どこか見たことがある景色だなと思えば、箱根にそっくりだ。温泉が湧き出してもおかしくないし、あちこちで湯気が立ち上っていてもおかしくないくらい。歩いていて「ここは日本だっただろうか」という錯覚に何度もおそわれる。
そこから大道路沿いを歩く。車は高速で走り歩道はあるとはいえ楽しい道ではない。途中スウェーデン人カップルのセシリアとヘラルドに遭遇したので話をしながら歩き始めた。彼らのリュックは小さなものに変わっており、話を聞くと荷物の配送サービスを利用したという。
わたしはこれまで歩いてきてそのサービスを利用しなかった。もちろん情報は周囲にもあったから利用しようと思えばできたし、10€程度と高価ではなく気軽に払える金額だから、それで1日の体力を温存できるなら選択肢のひとつとしてあってよかった。しかし利用しなかった。自分ひとりで一つの我慢くらべをしていたのかな。
宿泊するCASA SUSIというアルベルゲで皆で晩ごはん。自家菜園のじゃがいものスープに身体が温まる。ひよこ豆のサラダ、レモンにオリーブににんにく、ビネガー…真似して作りたい品々ばかりだ。パスタも自家菜園のセージを使ったバジルソースでシンプルなのに味わい深い。セシリアとヘラルド、アイルランドのブリジット&エリザベス姉妹(彼女たち、とてもたくましい。アイルランドの人は皆頼りにしたくなる芯の太さがある)と今日も同じアルベルゲ。
知り合いや顔見知りがいるとリラックスして過ごせるからいい。また明日はそれぞれ違うペースになるだろうけど、それでもいい。今この瞬間を、ひとつひとつ大切に感じることが重要である。
自分に合わない型やペースをはめたところで無理が生じるのは当たり前。私は、これからも自分の型を見つけて生きていきたい。誰にも縛られることなく、自由でいたい。
◾︎ 17/09/2017, CacabelosからTrabadeloまで