誰にも縛られない自由な型を【カミーノ 巡礼記28日目】

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昨日宿が一緒だったボルドー出身のマダム・アンと最初の街のカフェで会い、朝食を一緒にとる。彼女はオレンジジュースに砂糖を入れて飲んでいた。そのような文化を知らなかったので驚く。終わりには「ボルドーにいつでもおいで」「友達も呼んで来ていいからね」と連絡先を交換した。少しずつ道の終盤が近づいていて、その後もこの出会った人と関係性を続けていきたいか否か、という観点に変化している。 東京までは10,666km。そう考えると巡礼の800kmなんてそう遠くはないんだよね。 大きな標識も巡礼カラー。これなら迷うことはなさそうだ。 Rioja州では多く見かけたワイン畑の間を歩く。せっかくなら一粒、ということもせ…続きを読む

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乾燥果実の甘さをかみ締めて【カミーノ 巡礼記27日目】

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アルベルゲを出て左上を見上げると、昨日訪れた教会は橙色、黄金色に輝きそびえ立つ。この光の当て方は計算し尽くされたものなのだろうか、間接的だからこそ荘厳さを醸し出して、自らが煌々と光を放つより一層、じんわりとした強さを感じさせる。あたたかくて、でも近づけない。早朝のこの時間は誰にも侵害されないように作られているようだ。 街を抜け、振り返ると日本語の石碑。1万キロ以上離れた先にいる人たちが残した軌跡。 フェンス越しに指で少し遊んだら後をついてきてしまった。猫と遭遇すると必ず足を止めてしまう。 中都市Ponferrada。街がやけに静かだなと思ったら今日は日曜日だった。昨日と打って変わって坂道は少な…続きを読む

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ひたすら砂について考える登山道【カミーノ 巡礼記26日目】

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Rabanal del Caminoのアルベルゲが素敵なのはバーカウンターが建物入口のそばにあり、靴を履く時にかならず通るためカフェや飲み物をつい注文したくなるところ。今朝も出発前にカフェを飲んでいる人がいて、いいなあと思いながらも今日の行程を考えて諦める。山道、ひとりでひっそりと早めに出発したいのだ。カフェ休憩は次の街で大丈夫。 まだ空には星が輝いている。山に入る前にカメラを固定し撮影。教会の鐘の隙間から見える空がまた美しくて大好きだ。深い暗さではなく明るい空だから、あっという間に日が登るだろう。この小さな街はどこか神聖な雰囲気をまとっていて、離れてしまうのが口惜しい。なぜその印象を受けるの…続きを読む

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ご馳走するのも誤差の範囲内【カミーノ 巡礼記25日目】

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今日の最高気温は16度。日に日に温度が下がっている。しかも気付かない間に標高も高くなる。今日は300mのゆるやかな登りで、最終的にたどり着く予定のRabanal del Caminoは1100mほどの位置にある。 この道で助かったのがUNIQLOのウルトラライトジャケットだった。夏だからいらないだろうと当初考えていたけれど、登山のシチュエーションを考えた時に、山頂は想像を超えて寒くなる。今いらないと判断しても先の私はどう判断するかわからない。重さもそれほどないわけだからと最終的に持参した。よかった、荷物の仕分けをしたわたしに感謝をしながら歩く。 Léonで離れたと思っていた免色さんに道の途中で…続きを読む

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わたしがわたしだと悟られる時に【カミーノ 巡礼記24日目】

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朝のひんやりしたこの時間が気持ちいい。暗闇の最中は、道を踏み外さないように気をつけて歩く、すれ違うひとがいない時はどこか不安にもなってしまうけれど大丈夫。道は複雑ではなく、ただひたすらに国道沿いをまっすぐだ。空のグラデーションを、地平の線をそのまま透き通す農耕車のガラス。手前からわざわざ小さな窓を通じて眺めるわたし。限定された狭さから果てしない世界を想像するのも悪くはない。水路に反射する空、道は続く、静かに、ときおり、車の轟音とともに。 一つ目の街にたどり着いた時には空はやわらかなピンク色、黄色、水色に変化する。この街で朝食をと思ったものの、まだ静かに眠る街だったから滞在はせずに通り過ぎる。お…続きを読む

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