ブログ名はイタリアの詩人 ウンベルト・サバの「四季」から

Écrivain Europe Italie

-からからに乾いた喉に流れる冷たい水のように言葉が全身に染み渡る。頭はくっきりとさえわたって、発する声も潤いを取り戻し、全ての記憶が輝きはじめる-。イタリア文学研究者であり作家の須賀敦子さんの文章を最初に読んだときに、わたしはそんな実感を持った。彼女の文章と言葉が自分の身体、全身にいきわたって、それはあまりにも純粋で美しかったため、「こんな文学体験は初めて」だと震えがとまらなかったのを覚えている。

彼女の言葉はきらきらと輝いている。わたしの目には単なる文字にみえなくて。
彼女の見てきたどんな瞬間も景色も、わたしの頭のなかに取り込みたくて。

文章だけなく彼女自身の、しなやかでたくましい女性としてのあり方にも憧れる。 「UN LAGO CRISTALLINO È LA MATUÀ」というブログ名は、彼女が翻訳した、ウンベルト・サバの詩「Canzonetta 10/LE QUATTRO STAGIONI」(四季:カンツォネッタ10)の一節である。


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〜前略〜

これまでに存在し、これからも  E quel ch’è sempre stato,
変わらないことすべてを、たましいは  sempre sarà,ha in dispregio
燃え疲れて、蔑み、  la stanca anima ardente,

どうしてよいかわからない  che disperatamente
ほど、その朝、人生は、  sente da sé lontano
自分から遠いと思う。  della vita il mattino

水晶のみずうみは  Un lago cristallino
成熟の日々で、それは  è la maturità;
休憩の、仲なおりのとき、  una sosta,una pace,

痛みも口をとざして。  un dolore che tace,
労働にいそしむ1日が  e tranquillo si crea
ゆったりと紡がれ。  la giornata operosa.

〜後略〜
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このタイトルを付けたあとに、ヨーロッパで1番の透明度であるといわれるフランスのアヌシー湖のそばで暮らし、まさに成熟の日々を送るのだが、それはまた追い追い書こうと思う。