フランス・アヌシーとの不思議な縁と三度目の正直

Annecy France

Annecyという街を知ったのはフランスのリヨンに住んでからのことだったかもしれない。学校の日帰りアクティビティで交通費込み45ユーロ程度で行けるからと、紹介された案内のチラシを見たのが最初だった。友人の評判を聞いたり写真を見せてもらったりして、湖が青空の色とほぼ変わらないほどの美しさを持つということを知り、いつかは訪れてみたいなあと思っていたのが冬、2月のこと。

ちょうどアヌシーの県であるHaute-Savoieのすぐ隣の県Isèreに住む友人ができて、4月に一緒にアヌシー散策をしたのが1回目。それがまた、アヌシーを楽しむつもりがお互い山好きでだったので、街のすぐそばのSemnozとCol de la Forclazの山を歩いたり喋ったりして、結局湖付近や旧市街を散策する時間はほぼなかった。帰りの電車に間に合うように夜ご飯はレストランなのに30分で食べた(あの時はごめん!)。それにしてもSemnozは4月なのに雪が残り日差しは強くて、とっても気持ちよかった。冬は雪がたくさん積もるスキー場として人気らしい。


標高1699mのSemnoz。冬は一面真っ白で、天国のような景色になる。


Col de la Forclazは1157m。パラグライダーやハンググライダーの出発地点。なかなか強くて飛べない単独飛行のおじさんがいて、友人と二人で、背中を蹴ってあげなきゃねと笑う。


パラグライダーはフランス語でparapente. 自由に空を飛べたらどんなに気持ちいいだろう。

2回目は6月。日本からやってきた友人と、念願かなって今回はしっかりと丁寧に街散策ができた。チーズフォンデュも食べたし遊覧船にも乗ったし最高の思い出になった…はずが、当日持ってきたカメラがバッテリー切れで、スマホでしか写真を撮れず…悔しい。こんなにも美しい湖をしっかりとしたカメラで撮影できないなんて。それに観光スポットである旧牢獄は工事中。全て半透明の灰色のシートに包まれたそれは趣など一切感じられない。アヌシーに訪れた1度目も2度目も、なんだかうまく街を全力で満喫できない。これはどういうことか。つまり、ここに住みなさいと神様が言っているんだ!と不思議な縁を勝手に感じたわたしは、10月からこの街に住むと決意した。


湖での周遊、croisière。湖の透明度に終始感激。


旧牢獄は工事中だった。

ワーキングホリデー期間は都市と地方の二つに住んで街の文化の違いを知りたかったので、最初にリヨンという大都市に住んでいたからこそアヌシーに滞在することに迷いはなかった。リヨンに近いから友人にも会いやすいし、なんてったって、理想郷のような美しい湖のそばで暮らせるのだ。どんなこともこの自然に囲まれていれば乗り越えられるはず。そうして10月1日、10kg近いバックパックのリュックを背負い、スペイン巡礼帰りのサンダルとワンピースといった季節外れの格好をして、わたしはアヌシー駅にたどり着いた。3度目の正直、この街で始まる生活に胸を高鳴らせていたのである。