2017年上旬はリヨンという大都市のリヨンカトリック大学付属語学学校に通っていたので、下旬に滞在するアヌシーという小都市での私立語学学校に通うことには不安があった。自分が求めているレベルの教育を受けられるのか、はたまた私立である必要が本当にあるか、など悩みは解決できないまま、ただ美しい湖がある理想の街であるアヌシーだからというその一点の理由で決めたCILFA (Centre International de Langue Française d’Annecy) という語学学校。それは不安を大きく裏切る生涯忘れられない、大切な思い出の場所になった。やっぱり、直感は信頼に値する。
10月のアヌシーは色づいた葉が綺麗で夏とは違った趣がある。
学校の野外活動で参加したRetour des Alpages。
10月からスタートしたクラスはB2対策。ロシア、インド、スイス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、台湾、韓国、そしてシリア、と様々な国籍が入り混じっていつも議論が活発。最初はもう一人日本人がいたものの、仕事の都合で途中で学習期間を終えてしまったので、わたし個人が日本人として環境問題や歴史、社会、その他のテーマについて見解を述べるのが日課だった。
それはある意味、居心地がよかった。なぜなら「己が考える日本」を率直に他者に伝えられるし、同じ日本人と意見のすり合わせをする必要もない。ただし、当然ながら責任がのしかかる。発言ひとつが、国の印象を左右するものであるとしっかり受け止めなければならないから。微妙なバランスを保ちながら、「日本では…」と語ること。大使館の使節でも代表団でもないけれど、大丈夫。国家レベルの話じゃないから。議論をすることが目的だから。
この学校に通っていて一番嬉しかったのはCILFAの校長が、サンティアゴ・デ・コンポステラ巡礼の経験者だという事実だ。この学校に来る前に巡礼を終えたわたしは、彼が実際にあの道を歩いていると知って実際に深い話をしなくとも、あのスペインの街の景色や道、地面の硬さや風景を感じた人なんだなぁと、勝手に、ぐっと距離が近づいた気がする。巡礼をした人だからこそわかる、秘密をお互いに知っているという感じだろうか。
結局勉強や学習は、どういう先生に出会うかで自分の能力の引き上げ方が異なる。次にクラスメイトや周囲の環境。きちんと努力して成果を出せば褒めてくれる人がいる安心感は、ますます頑張ろうと意欲も高まる。そんなこんなでわたしは、DELF試験前は授業終わり、ほぼ毎日5〜6時間くらいずっと自習部屋にこもって楽しみながら勉強していた。結果無事にB2に合格して、ほっと一安心。最初に通知が来た時すぐさま先生に報告しに行って、喜んでもらえたのが何より嬉しかった。無事に合格することが、熱心に日々教育してくれた先生への恩返しになると信じていたから。
学校と併設するレジダンスからの景色。この景色を毎日眺めて勉強し、生活した。
B2が終わっても大好きなフランス語をまだまだ極めたい。今度はDALF C1の受験のためCILFAに行こうと計画中。まだまだ勉強漬けの日々が続く。