朝7時前に荷物をまとめて宿をいざ出発、霧の中の街を歩く。空気はひんやりしている。まわりにはぽつぽつと歩く人の姿。どの道を通ればいいのかは、歩く人が示してくれるから心細くはない。小さな街の小さな道、一歩一歩踏みしめて遠くに見える山へと近づいていく。ピレネーの山越えが待っている。 徐々に太陽が登り始める。朝の霧は嘘だったみたいに、透き通った青空が広がる。ちらほらと赤や黄色に染まった葉にこれでもかと浴びせる光。今日も一日暑くなりそうだ、できるだけ早めに次の街のRoncesvallesまでたどり着きたい。とはいえこの日のルートは一気に1200mの高さを登らなければならないので、足を痛めたりしたら、1日…続きを読む
投稿者: suisyo-seijuc
Séraphine Louisの絵画を巡るための美術館リスト
Séraphine Louisの絵画を巡るための美術館をいくつかリストアップした(随時更新)。フランス滞在中はこれらの美術館を訪れ彼女の絵を感じ、彼女の人生について、生き方・考え方について何か少しでも近付くことができたらと思う。 ■Le musée Maillol à Paris http://www.museemaillol.com/ Paris,Métro「Rue de bac」駅すぐそば 59-61 Rue de Grenelle,75007 Paris ★訪問済み ■Le musée d’art de Senlis http://www.musees-senlis.fr/ SNCF「G…続きを読む
食べることに丁寧に向き合うのは、人間らしくていい。
先日、カフエマメヒコで開催する「食べよ、」というイベントに縁があって参加した。この会を通じて学ぶのは食の歴史や文化、それが人々の意識に影響を与え、現代社会を作り出しているという事実だけれど、何よりも一番はっきりとしたことがある。 それは自分が「食べることが好き」というよりも、「食にまつわる文化」が好きだということ。だから作ることも好き、食材を考えるのも好き、何と飲み合わせるかも好き、誰と、どこで食べるかもしっかり考えるのが好き。 私はファーストフードだって食べるし、コンビニも利用する。でも根底には食の大切さ、自分の体が何をとりいれたら喜ぶのかが基本にあった。昔から体を傷めるような食事(脂っぽす…続きを読む
時間の埋め合わせと長い散歩のつもりだった【カミーノ巡礼記0日目】
わざわざ面倒なことをしなくてもいいのに、わたしがフランスのSaint-Jean Pied-de-portからスペインのSantiago de compostelaまで約800kmをかけて歩いたのはたぶん、本当に、秋から始まる学校までの時間の埋め合わせと、ただ歩くのが好きだからという理由からだった。今でもあの時どうして歩けたんだろうと不思議になるけれど、なぜか導かれるように歩くべきタイミングが訪れたんだと思う。ぽっかりと空いた1ヶ月、厳しい暑さを超えた秋の始まりを迎える時期、これを達成すれば何かがきっと変わるだろうという確信。 それはつまり、道がわたしを呼んでいたのだ。 2017年8月21日〜9…続きを読む
DELF B2取得を目指して登録したアヌシーの語学学校
2017年上旬はリヨンという大都市のリヨンカトリック大学付属語学学校に通っていたので、下旬に滞在するアヌシーという小都市での私立語学学校に通うことには不安があった。自分が求めているレベルの教育を受けられるのか、はたまた私立である必要が本当にあるか、など悩みは解決できないまま、ただ美しい湖がある理想の街であるアヌシーだからというその一点の理由で決めたCILFA (Centre International de Langue Française d’Annecy) という語学学校。それは不安を大きく裏切る生涯忘れられない、大切な思い出の場所になった。やっぱり、直感は信頼に値する。 10月のアヌシー…続きを読む
フランス・アヌシーとの不思議な縁と三度目の正直
Annecyという街を知ったのはフランスのリヨンに住んでからのことだったかもしれない。学校の日帰りアクティビティで交通費込み45ユーロ程度で行けるからと、紹介された案内のチラシを見たのが最初だった。友人の評判を聞いたり写真を見せてもらったりして、湖が青空の色とほぼ変わらないほどの美しさを持つということを知り、いつかは訪れてみたいなあと思っていたのが冬、2月のこと。 ちょうどアヌシーの県であるHaute-Savoieのすぐ隣の県Isèreに住む友人ができて、4月に一緒にアヌシー散策をしたのが1回目。それがまた、アヌシーを楽しむつもりがお互い山好きでだったので、街のすぐそばのSemnozとCol …続きを読む
ブログ名はイタリアの詩人 ウンベルト・サバの「四季」から
-からからに乾いた喉に流れる冷たい水のように言葉が全身に染み渡る。頭はくっきりとさえわたって、発する声も潤いを取り戻し、全ての記憶が輝きはじめる-。イタリア文学研究者であり作家の須賀敦子さんの文章を最初に読んだときに、わたしはそんな実感を持った。彼女の文章と言葉が自分の身体、全身にいきわたって、それはあまりにも純粋で美しかったため、「こんな文学体験は初めて」だと震えがとまらなかったのを覚えている。 彼女の言葉はきらきらと輝いている。わたしの目には単なる文字にみえなくて。 彼女の見てきたどんな瞬間も景色も、わたしの頭のなかに取り込みたくて。 文章だけなく彼女自身の、しなやかでたくましい女性として…続きを読む
はじめに-このブログの方針について
わたしが知っている世界なんてほんの小さな片鱗でしかなくて、それでも何かを知ったような気になってしまい、誰かにその感動や喜びを伝えたくてこのブログを開設した。できるだけ文章に対しては素直で誠実で、正直でいられたらと思う。 自己紹介について- Yumi.H 大阪出身東京在住。 ヨーロッパの文化とその多様性に魅了され、ワーホリビザでフランスに1年間滞在。 2017年9月にスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼フランス人の道800kmを完歩。 イタリア文学者・作家の須賀敦子さんの文体とその生き方に憧れている。 最初の海外経験はアメリカ。異国文化に触れるという意味では十分なほどのカルチャーショッ…続きを読む